大判例

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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2235号・昭25年(う)2236号 判決

依つて按ずるに、刑法第二百三十一条に所謂侮辱罪は事実を摘示せずして概念的又は抽象的意見を発表し、以て他人を誹謗する行為を指称するものであるから苟くも或る事実を摘示し、之を基礎として概念的又は抽象的意見を発表して他人を誹謗する場合は侮辱罪ではなく、同法第二百三十条の名誉毀損罪を構成するものである。

之を本件に就て看るに、原判決書記載の「揖斐町の皆さんに訴ふ」と題する書面の記載に依れば被害者谷胸治の言として「あれは税金のためではない」「死んだ人間が税金で死んだかわかるか」「税務官吏に対する態度が失礼だ」との具体的事実を摘示し、之に基き同人を非難する抽象的文言を記載したものであるから、右は明に名誉毀損罪に該当する性質のものである。故に原審は須く弁護人主張の右は公共の利害に関するもので従つて刑法第二百三十条の二所定の条件を具備するや否やに就て審理判断を為すべきであつたに不拘、右は単なる侮辱に該当する事案なりとして弁護人の該主張を斥けた原判決は明かに判決に影響すべき事実誤認の違法ありと謂はなければならない。

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